ネオ・ピューリズム。
美の探究者たちの新しいフィロソフィ。
 
恋愛は「狂気」である。「病」である。「幻想」である。「善」である。
そして「美的欲求行為」である。愛する者に真の美を想起し、
翼を生じ、翔け上ろうというプロセスの中で、
欲望のロマンティシズムと欲望のリアリズムが交錯する中で、
女性たちは自己のロマンスの宇宙に生息する無垢な聖性を組織化し、
恋愛の結晶作用という異次元のエネルギーを駆使して美の探究者へと進化していく。
プラトニズムという女性美の古典的聖性のオマージュの呪縛から逃れ、
しかし、イマジネーションのない日常性に溺れることなく、
官能性/センシュアリティという狂気に充ちた瑞々しい純粋性に
美のモダニズムの新たな価値を見い出す、美の探究者たち。
ネオ・ピューリズム。官能性/センシュアリティの純度を高めながら、
自己の欲望の形式美を構築する。
新世紀。美のミニマリズムはエピローグを迎える。
 
anata no kuchibiru wa beni no ito no gotoku
あなたの唇は紅の糸のごとく
 
watashi no sono ni kaori wo furimaite okure
私の園に香りをふりまいておくれ
 
veil wo sukashite miru sono komekami wa zakuro no hana nimo nite
ヴェールを透かして見るそのこめかみはザクロの花にも似て
 
anata wa tozasareta sono, fuuji rareta izumi no you
あなたは閉ざされた園、封じられた泉のよう
美しいものに出会う。
その悦びは、心で感じると同時に各身体系に作用を促し、表現される。
美の悦びによって瞳は輝き、口もとは微笑むのである。
美しい心は口や目、手や足によって絶えず表現されているし、
美しい瞳や唇の動きは、美しい心に支配されている。
美の探求者は、心の状態を高め、身体の表現を高める、
つまり美しい存在であるために、美・快・善の確固たる価値基準を構築し、
新しい美・快・善に出会うたびに、自己の美の宇宙を拡大する。
そして、その宇宙を絶えず刷新し、
変容させながら新たな美の様式を模索するのである。
瞳の力。それは人間の身体の中で、最も内面 の純粋性を伝達する能力が高い。
なぜなら、瞳は本能という生命の力とシンクロナイズしているからである。
美の探求者たちは、無垢の純粋性を放ちながら瞳の力を自由自在に操る。
コスメティックスなどの人工的な美のセンシュアリティによって、
あるときはフォーマルに、あるときはアンフォーマルに、
自己の純粋性の中に潜む美を増幅させ、拡散する。
しかし、惑わされてはいけない。その瞳の力を操るインテリジェンスには、
制御不可能な純粋的官能性が必ずちりばめられているのだから。
 
唇/Levreは、官能性/センシュアリティのイコンである。
心の中の身体的欲望を映し出すメディアである。
恋愛というトランス状態のなかでは、欲望の行方がロマンティシズムから
エロティシズムへシフトした瞬間、唇/Levreは精神世界を支配し、
聖性のイコンである瞳/Yeuxと呼応して身体的欲望の純粋性を形成するのである。
唇/Levreと瞳/Yeuxの相互作用による官能性/センシュアリティのダイナミズム。
唇/Levreの表層の質感・色彩、そして瞳の光を交錯させながら、
美の探求者は聖なる美の偽善者になっていく。
 
恋愛というメタファーにおいて生まれる欲望は、
他の日常的欲望とは一線を画す。その欲望は日常性を越え、
ある種幻想の世界、 イマジネーションの中で存在する美を対象にしている。
美の探求者たちは、恋愛によって創出されるエネルギーを生命の純粋な力として蓄え、
恋愛によって拡大する身体的欲望に真の女性美という価値観を見い出す。
聖なるものから、官能性を伴った新しい聖なるものへ。
モダンエロティシズムという女性美に対する21世紀のテーゼは、
インテリジェンスによって磨かれ、
官能性/センシュアリティによって深まっていく。
 
PARFUM GIVENCHY “Puissance vol.2”